今年もあとわずかとなりました。クリスマスの喧騒も去り、昔からのこの国の年の瀬を迎へ、慌ただしいなかにも、落ち着ける毎日です。
今年は、年金問題に一年中振り回され、更に当分は、あるいは永遠に解決がつかないようです。これは、公務員の無責任体制またそのもとになる公務員の無謬性、すなわち公務員の行った判断に間違いはなく、それ故に罪に問われることはないという公務員の身分保障制度に原因があるように思われます。
さて今年のこの国を象徴する言葉は「偽」ということですが、偽装は食品をはじめとして、高速道路建材、介護支援事業者、労働者派遣業者の法令違反、さらにC型肝炎ウィルス混入薬剤、にまで及んでいます。20年程前までは、仕事に対しての金銭の多寡を声を大にして云々することは憚れる時代でしたが、現在では、効率という利益最優先の経済至上主義が当然と考えられています。この時代風潮が乗り越えられない限り、偽装はなくならないでしょう。
ところで、「偽」は我々歯科界にも存在します。歯科医師は一応歯科医師国家試験に合格したものですが、試験のレベルは極めて低く、その資質はピンからキリです。歯科医は確かに手の作業が多く、大工みたいなもので、頭はいらないと思っている方もいるでしょうが、現代歯科医学の基礎は、基礎系および臨床系の学問体系からなっており、その裏付けがなければ、誤った治療に陥る危険性があります(歯科ではその結果がすぐには現れずに、数年後に顕在化することが多いものです)。その学問の府の大学の入学試験偏差値は、高いレベルの大学と低いレベルの大学とでは、一般の方に知られたらまずいくらい差が大きいのです。そればかりか、低いレベルの大学では、何千万円もの裏口入学が平然と行われています(医科でも事情は同じです)。東日本でも5、6校はそのような歯科大学があり、学生の質は悪く、まともな講義ができない、大学の理事長は教育理念もなく、金勘定だけをしているという裏の事情を、関係する教職員が怒りをこめて、またあきらめ半分で語っているのを聞いています。私の診療所の近辺でも、そのような大学出身の歯科医にかかっていた患者さんが、困り果てた末、当院に来て診察してみると、医療ではなく、犯罪といってもいいような治療がされていて、愕然とすることがあります。大学名を挙げることは、憚られますが、毎年5月に新聞に公表される国家試験合格者の大学別合格率をみれば自ずと分かります。従って、「偽」の歯科界に騙されないためには、患者さんも歯科大学をよく調査し、歯科医の出身校を確認し、確かな歯科医を選択することが必要でしょう。また、ホームページやパンフレットなどでいろいろな略歴を羅列していても、出身大学が明記していない場合は注意したほうがいいと思われます。
以上、今年の話題を振り返るとともに、歯科界の問題についても触れてみました。
投稿日:2007年12月26日 カテゴリー:未分類