自然災害に対する国際援助

 ミャンマー(ビルマ)のサイクロンでは、国連発表で10万人の死者、22万人の行方不明者、190万人以上の被災者が生じ、中国四川省の大地震では中国政府の発表で6万人の死者、36万人の負傷者、4550万人の被災者と公表されていますが、いまだ被災者数は推測の域を出ず、今後感染症の拡大も考えられ、さらに犠牲者は増えるものと予想されています。
 この数字をみると自然災害の脅威を痛感せざるを得ません。しかし、天気予報が進歩した今日、サイクロンの大きさと進路はある程度予測できていたと言われていますし、四川省の地震も大雑把ではあるが、その可能性が指摘されていたという情報もあり、自然災害ではあるけれども、人災も加わって事態を大きくしている面があるようです。
 それ以上に深刻なのは、両国とも体制維持を第一に考慮し、災害後の人命確保、生存者、被災者への援助を積極的に行う熱意に欠けるのではないかと見られることです。テレビ映像では、政府要人が被災地を見て回り、国を挙げて喪に服す日をつくり、また奇跡的な生存者救助を大々的に報じていますが、両国とも諸外国からの災害救助の特殊技術を持った援助要員の受け入れを積極的には認めていません。救出、および罹災者への処置には大量の人員と特殊な技術が必要と思われ、国連および諸外国も人員派遣を申し出ているのに、自国の社会体制を知られたくないためか、あるいは自国の災害状況を的確に把握する行政体制が不十分なためか、食糧、医薬品の援助のみ受け入れ、人員の入国を嫌っています。ちなみに、既に外国からの援助物資は闇商品となって市場に出回っているようです。
 これは為政者の勝手な事情のためで、一番困るのは、被災者で、水、食糧、医薬品が手に入らず、飢え、感染症の恐怖の中にいます。国民の生命は為政者の目論見で勝手に決められてはなりませんけれど、外国のこととて、私たちには手が出せないのはなんとも歯がゆいものです。
 こういう事態をみると、自然災害の救援に際しては、当該国の政府当局の意向にかかわらず、国連を中心とする国際機関が国民の生命を守るため、救出する権利を持つという理念を、国際的に認めるための国際環境が整備されるよう努力する必要があるように思えます。
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投稿日:2008年5月28日  カテゴリー:未分類

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